ちょこちょこ あみあみ

毎日ちょこちょこ編んでます。

直線で製図すると編み図なしでボートネックのニットが編める。パターンあります。

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セーターの画像
 2019.1.24記事の統合、修正しました。

編み図なしで基本まっすぐ編むボートネックのセーター。自分のサイズでパターンを引きました。

デザインから製図をし、目数、段数の割り出し、そして編むところまで、全工程を一挙に公開します。

編みものをされる方なら、自分のデザインやサイズで編みたい、と思われる方も少なくないと思いますが、パターンを引く(製図をする)ところが難しい部分だと思います。

それをブログだけで伝えるのはとても難しく、どのようにすれば伝えられるかと悩みました。

できあがったパターンや編み図を公開するだけでは「自分でデザインしたものを作る」「自分のサイズで編む」という、根本的な部分が伝えられないからです。

この記事では、製図をしたことがない、してみたいといった方の参考になるものを作りたいと思ったので、いくつか条件を決めました。

  • パターンは、カーブ線を使わずに直線だけで作り、前後も同じ形の型紙にする等、できるだけ簡素化する。
  • 目数と段数を計算して割り出し、編み図を作る必要がないようにする
  • 誰もが着たいと思えるような、ベーシックなデザインにする

それらをふまえてデザイン画を書きました。それがこちら。

 セーターのデザイン画

次に、パターンのポイントを考えます。

・主要な部分のサイズを決める。

(大事なのはバスト 、肩巾、袖巾等、シルエットが決まってくる部分です)

 ・胸、肩のダーツはなし

 ・このデザインでいうと、ボーダーの位置

このような感じです。もちろん製図していく中で変更することはOKです。

細かい部分はいいのですが、バストや肩巾など、大事な部分を後から変更するのは大変です。ダーツもそうです。

なので、ポイントとなる部分のサイズは、よく考えて決めてください。

 

(今回の方法は囲み製図です。原型を使って展開する方法ではありませんのでご注意ください。

また、これは手編みのニット用です。布帛(織物)のものではありません。このパターンを使って、布帛の洋服を作るのは難しいと思います。)

 

  製図をする

身頃のパターン

Mサイズで作りますが、私に合わせているので袖丈が少し長めです。もしこのパターンを使用される方がおられましたらご注意ください。

まず、パターンとサイズです。

できあがりのサイズとパターンの画像

(できあがりのニットとパターンとではサイズとは違います。ニットは伸びるので、とくにたて方向は製図の際小さめに作ります。

製図の説明の部分で詳しく書いていますので参考にしてください。ちなみに、パターンと冒頭のデザイン画はイラストレーターを使って作っています。)

 

パターンは前後同じ形です。また、左右も対称なので、身頃は前後中心から、袖は袖山線から半分しか作成しません。両身頃作りたい場合は、半身ができてからあとで反転させます。

イラストレーターなら簡単ですが、紙に手描きする場合は、中心線で紙を折り、描き写すとよいです。

バスト寸法1/4の製図

バスト寸法1/4を水平(横)方向に引きます。

その線の左端から垂直に、下に線を引きます。今回は後身頃を基本に考えるので、この線は後中心線になります。

右端から垂直に、上下に線を引きます。この線の、バストラインから下は、脇線になります。

後中心線に平行に、肩巾位置を取ります。

パターン、肩巾位置の画像

 

ニットは伸びますし、もともと肩線は伸びやすいところなので、1~2cmほど小さくしておいたほうがよいです。

肩巾41cm設定にしたので、半分の20.5cm取りました。

 

パターン、肩線の画像

そこから下に、垂直に線を引いて、2.5cm下に、ポイントaを取っておきます。

後中心線から仮の天巾15cmの1/2、7.5cmのところにポイントbを取ります。

aとbを直線で結びます。

 

(両身で15cmを原型の天巾と仮定し、仮のN.Pを取り、そこから肩傾斜を取ります。衿ぐりと肩線の交わる角のところをネックポイントと言い、N.Pと略します。

今回本当の天巾が、デザイン的にかなり大きいので、原型に近い位置から考えることにしました)

 

そして実際の天巾です。

パターン、実際の天巾の画像



今回ボートネックで、広めの天巾になります。布帛(織物)や、カットソーの型紙であれば、N.Pから前後中心に向かって、カーブをつけて衿ぐり(ネックラインともいう)にしますが、今回は水平方向に、直線にします。

後中心線との交点を、cとします。      

        

(衿ぐりのカーブについてですが、布帛やカットソーは生地に張りがあったり、薄くて軽いので、パターン通りに上がりやすいです。

しかし、ニットは、素材にもよりますが、柔らかく厚みがあるぶん、重さもあります。

N.Pは肩線があるので肩に支えられますが、間の、前後中心のあたりは、支えてもらえるところがないです。なので、どうしてもたわむ、というかだらんと垂れ下がりやすくなります。

カーブをつけなくてもカーブしているように見えるのです。

逆に、今回はそれを利用して衿ぐりにカーブをつけずに製図しています。)

 

パターン、後ろ衿ぐり、着丈の画像

cから下に着丈を取ります。54cmです。そこから脇線に向かって水平線を引きます。脇線と交わるまで引いてください。

 

これで長方形になりました!パターンらしくなりました。

アームホール(AH)の底の位置を引きます。aの位置から、18.5cm下にポイントを作り、その点から、脇線に向かって水平線を引いてください。

パターン、アームホール底の位置

デザイン線を入れます。

パターン、ゴム編み位置

裾から8cmまでゴム編みにするため、線を引きます。

衿ぐりも同様に3.5cmのところに線を引きます。

肩線は傾斜がついているので、引き返し編みになります。

ゴム編みで、引き返し編み…難しそうですよね。私はちょっと避けたいです。

図のようにメリヤス編み部分に移動させて、ゴム編み部分はまっすぐ編むだけにします。

パターン、肩引き返し編み位置移動、ボーダー位置

そして、一応、ボーダーの位置をパターンに入れます。裾から10cmと、衿ぐりから下10cmのところとします。(破線部分)

この位置は、使う毛糸のゲージや柄のピッチで変わってくるところなので、仮で入れておきます。

これで身頃ができました!

 

袖のパターン

前後同じ形で、袖山線でわにします。前袖のみ製図していきます。

水平方向に、1/2袖巾18cmを引きます。

パターン、袖山、袖巾

袖巾線の左端から上下に垂直線を引いておきます。 

パターン、袖山

 

袖巾線と袖山線の交点から高さ8.5cm上がったところから、右側に水平線を引いてください。

その水平線、5cmのところにポイントfを取ってください。

パターン、袖山、袖底

袖巾線右から2.5cmにポイントgを取ってください。ここは、身頃のアームホール底と接ぎ合わせる部分です。

fとgをつなげてください。

 …直線だけど、袖山でしょう?

 

袖山いちばん上から、袖丈を取ります。

パターン、袖丈、袖口

そこから水平線を引いて、袖口周り1/2、12cm取ってください。

そして8cm平行に上に線を引いて、つなげて四角にしてください。ここはゴム編み分です。

その上側、右端から袖巾右端とを直線で結びます。

 

パターン、袖下線

(袖丈55cmにしていますが、ドロップショルダーでない場合、袖丈は57cmくらいほしいです。

今回は肩の位置が標準の巾より2cm落ちています。袖丈57cmにすると肩が落ちている分袖丈が2cm長く上がってしまいます。

実際に編むとなると、ニットなのでさらに伸びて上がるはず)

 

袖のパターンができあがりました!

 

製図の際の注意点

着丈の変更は簡単にできますが、袖丈を短くするときは、袖口周りの大きさは調整してください。

また、アームホールの底と高さを変えなければ、バスト、肩巾位置を広くしたり狭くしたりといった多少のサイズチェンジもOKです。その際は袖丈の調整をしてください。

アームホールが変わってしまうと袖を大幅に変更しなければいけません。注意してください。

 

目数と段数を割り出す使用する毛糸とスワッチの画像

次に、パターンから目数と段数を割り出していきます。

直線だけのパターンということは、寸法とゲージだけで編めます。

もちろん編み図を作るにしても、パターンがあれば必要な部分だけでよいし(減らし目などがなければ、○○目を△△段、という計算がすぐできる)、とても簡単にできます。

私は、肩の引き返し編みだけ作りましたが、そのほかは作っていません。代わりに、パターンと目数、段数、減らし目の指示は入れています。

 

使用した毛糸とゲージ

アヴリル クロスブレッド

メリヤス編み部分 8号棒針 20目×26.5段

糸に対して針の号数が太いのですが、ゲージを取る際水通しして少し縮んだので、8号で編んでいます。

 

まずは図をご覧ください。

パターンと目数、段数を割り出したもの 前回製図したパターンに、各サイズと目数、段数などを記入したものです。

(先に書いておきますが、実際に編んだあと変更箇所、訂正箇所などがあります。実際に編まれる方は、後に出てくる修正済みのものを使用してください)

わかりやすいように、わにしています(半身の身頃、前袖のわの部分で反転させ、開いた状態です)が、左右で同じところは数字を省いています。

これらの数字の割り出し方法を書いていきます。

目数と段数を割り出す際の注意点

目数と段数は、まずいちばん大きい部分を計算して、次に大事な部分、もしくは次に大きな部分を計算して決めていくようにしてください。

横巾なら、まずバストを計算して、肩巾、天巾を計算します。

たて(丈)なら、今回は着丈、その次にアームホール底からN.Pまで、その次はアームホール底から肩先まで、というふうに決めてください。

大事な部分というのは、身頃と袖のくっつく部分、アームホールと袖山です。このあたりのことは、次の項で実際に目数と段数を決めますので、その部分で詳しく書きます。

 身頃の目数と段数の割り出し

身頃のパターン、目数と段数を割り出したもの


身頃は裾から編んでいきますが、裾からバスト(アームホール底まで)は増減なしで同寸ですので、以後バストサイズに統一します。

前後でまったく同じ形なので、同じものを2つ編みます。

身頃の作り目は、

  • (バスト÷2)×(ゲージの目数)÷10

となります。

10で割るのは、バストサイズは92cmと1cm単位なのに対し、ゲージは10cm=20目となり、10cm単位になっているからです。

計算すると46×20÷10=92となります。

 

 次に着丈の段数を計算します。

 

  • ゲージ26.5段×34.1cm÷10=90.365段

裾からバストまでの高さは34.1cmです。今度は段数です。

これを計算すると…

  • ゲージ26.5段×着丈54cm÷10=145.75段

繰り上げて146段にします。

 

もし、丈がとても中途半端な数字になった時は、繰り上げるか、切り捨てるかしてください。どちらでもよいです。

先の注意点にも触れましたが、これがアームホールとなると、袖に関係してくるので、慎重になってください。

こういう調整は身頃も袖もやり方は同じですが、身頃は増やしたのに袖では減らした、となると、くっつける(はぐ)部分の寸法に差がでます。

そして、袖の寸法は段数(たて)だけでなく、目数(横)も関係してきます。できるだけ寸法の差が出ないよう注意してください。

また、よく編んでいる方ならピンとくるかもしれませんが、往復に編む場合は基本、2段で1セットです。(輪針で編む場合は、私は気にしませんが)段数は、偶数になるように調整してください。

 

次に大事な部分、アームホールから衿ぐりまでの部分の計算をしてみます。

まず横方向の目数の計算、底の部分は2.5cm=5目になります。

バストから左右合わせて10目引いて、82目です。

アームホールから上は目数の増減はありませんので、目数82はそのまま肩巾と同じになります。

  • 肩巾41cm×20÷10=82目です。

目数が合うように、あらゆる角度から計算します。それでも間違いますのでご注意を…。

同様に、天巾、肩線の目数も計算しておきます。

 

段数の計算をします。

  • アームホールから衿ぐり19.9cm×26.5÷10=52.735段です。

肩は、前後で合わせて引き抜きはぎをします。それで1段使うことになるので、縫い代分として足して54段とします。

全体としては54段ですが、肩は引き返し編みをするので、その部分の計算をします。

目数、段数は図の通りです。引き返し編みの部分だけは自信がないので、編み図を作ります。

そして、ボーダーの位置についてですが、今回はボーダーの段数を4段数で1ピッチとします。

ボーダーは、裾から10cm上~衿ぐりから10cm下までにしていました。計算すると90.1段、ボーダーのピッチ4段で割ると、22.5本。

ボーダーの本数は奇数にしたい(奇数でないとイラストのようにならない)ので、23本、92段にしました。

これで身頃は完成です。

 袖の目数と段数の割り出し

袖のパターン、目数と段数を割り出したもの

次に袖の計算をします。

基本的には身頃と同じです。垂直、水平方向の直線部分は身頃と同様に割り出しました。

袖山の高さは、アームホールと同様に段数を足しましたが、袖山は減らし目の数が多く、なだらかにしたかったので、図のようにしました。

袖下の増やし目も同様に、こちらは偶数で割って、余りの段数を上下に割り振りました。

 そして、ボーダーも身頃と同様に段数を決めますが、上側の柄の位置は、身頃と合わせたいです。

これは、製図をしたときに、アームホールと袖山の寸法を合わせたときに引いておいた位置です。

段数の計算をしたときに微妙に変わっているので、もう一度位置を確認しました。 

 

これで袖の計算もできました。

あとはひたすら編むだけ。

編んでいる途中のセーターの画像、身頃

これまでは設計で、後は実際に形にしていく段階です。

…ですが、編んでみると、やっぱり、ん?となるところや、変更したい部分や間違っていた点も…。

 

再度、使用した毛糸、ゲージ

アヴリル クロスブレッド 330g

メリヤス編み部分 8号棒針 20目×26.5段

 

実際に編んでみて

まず身頃から編みましたが、ボーダーの位置が気に入らなくて変更しました。

上(衿ぐり側)の柄を2本減らしました。

身頃に合わせて袖山側の位置をずらしました。

そして、袖口側のボーダー位置もなんか変だったので変えました。

このあたりは実際に編んでみないとわからない部分です。

そして…袖山の段数の計算(というより計測)が違っていました…。いつも見直すのですが、それでも間違えます。

そして、袖山の減らし目のしかたも変更しました。

 

 ↓すべて修正しました。

見頃の図。修正済

袖の図。修正済

肩の引き返し部分の編み図も載せておきます。

肩の引き返し編みの図。

そして、肩の部分。

2目ゴム編み、前後で合うように編んだほうがよかったですね。

肩の部分の画像

 

できあがり

できあがったものがこちら。

出来上がったセーター

パーツの状態でサイズを測るとかなり大きめだったのですが、出来上がりは小さく上がりました。縮みそう、と思って針のサイズを大きくしていてよかったです。

はぎを入れる前にスチームアイロンで形を整えて、すべてはいでから水通ししました。

<出来上がりサイズ>

丈51cm

肩幅39cm

バスト 90cm

袖丈53cm

 

いつもそうですが、できあがると本当にうれしいですね。

着てみました。

着た画像、前

着た画像、横

どうでしょうか。けっこうデザイン画に近いあがりになっていると思うのですが。

ただ、自分の予想より小さく、短く上がっています。この辺りは毛糸によると思います。

 

まとめ

今回は少し実験的でもあったのですが、この方法でアレンジを加えれば、いろいろなデザインに転用できます。

ほかはそのままで衿ぐりを変えればデザインもガラッと変わります。

一度パターンを作ってみると、服の構造を理解できておもしろいですよ。

よかったら挑戦してみてくださいね。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。