編み物の仕上げについて。工程やソーイングとの違いを比較。
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編みものの仕上げやサイズ上がりについて書いてみようと思い考えていたら、ソーイングとの違いに気が付いたので、今回はニットとソーイングの工程や仕上げについて、比較してみようと思います。
まず、布帛やカットソーの服作りについて、考えてみます。(以後、ソーイングとします)。
- ソーイングの工程
- 手編みのニットの工程
- ソーイングとニットの作り方と仕上げの違い
- 手編みのニット作品の大きさがゲージよりも小さくなる
- 手編みのニット作品の大きさがゲージより大きく(伸びて)上がる
- まとめ
ソーイングの工程
ソーイングでは、ざっくりですが、
1、地直し
2、裁断
3、芯貼り
4、縫製
5、まとめ、仕上げ
という工程があります。
1、地直しとは、縫製後に小さく上がらないように、生地を裁断する前に縮ませておくことです。具体的には一度水通しして乾かす、またはスチームアイロンをかける、などをします。
生地は、水分と熱で縮みます(ものにより大きくなる)。あと、これらに物理的な力が加わると、ものによりさらに縮み、その分生地が厚くなります。
(それをわざとするのが縮絨(しゅくじゅう)と言われるものですね。ニットでも縮絨させることはあります。フェルト化も同じような意味です)
それらが縫製段階で起こると、思っていたより小さく上がり、場合によっては着られないものができあがるので、注意が必要です。
そして、3の芯貼り、こちらはアイロンで接着芯を貼る工程です。
接着芯を貼ると縮む可能性が高いので、生地、芯地ともパターンよりぐるり一周5mmほど大きく裁断(粗裁ち)し、芯貼りしてから再度パターンをあてて、パターン通りに裁断するという方法を取ると、確実です。
4、縫製段階では、合間にアイロンをかけて、縫いやすく、またきれいに上がるようにします。
ここでもアイロンで熱、スチームを使えば水分、しかも押さえつけたりするので物理的な力がかかり縮む原因になります。
5、まとめ、仕上げでは、ボタンを付けたり、糸始末をしたり、いちばん最後に仕上げとしてアイロンをかけます。
このように、3~5の工程で縮む要素がたくさんあるので、1の地直しをするわけです。
最初に思い切り縮ませておくと、後で熱や水分を与えてもそれほどサイズが変わったりはしなくなります。
これを手編みのニットに当てはめて考えてみます。
手編みのニットの工程
手編みのニットでは、ざっくり下のようになります。
1、スワッチを編み、ゲージを取って、使う針の号数を決める
2、編む
3、仕上げ
主にウエア(セーターやカーディガン、スカートなどの大物や、帽子などのサイズがきっちり出て欲しいもの)ではこうです。
サイズが多少変わっても平気な小もの(マフラーやかばん、身に付けないものなど)では、ゲージすら取らないこともありますので、今回ウエアを対象とします。
1、ゲージを取る云々はあとに回します。
2、編むという工程では、ものによりますが、ソーイングと同様、合間にアイロンの工程を入れると、仕上がりがまったく違います。
肩や脇線、袖などをはぐ前に、地の目を通すように(たて、横が直角になるように)編み目をそろえると、とてもはぎやすく、きれいに上がります。
ただ、これも熱、水分を与えることになるので、縮みが起きやすくなります。
3の仕上げは、スチームアイロンまたは水通し、もしくはその両方をします。ここでも縮みやすくなりますし、また、縮ませるのを目的とする部分もあります。
ここで戻って、1のゲージを取る工程についてですが、ここでは何号の針を使用して、10cm×10cmの大きさのなかで、目数段数がいくつになるか、という計算をします。
実際には、本などに載っている作品を編むために、逆算して針の号数で調節して指定のゲージになるようにします。
ソーイングとニットの作り方と仕上げの違い
ソーイングでは、後で小さく上がってしまわないよう、裁断前の生地の段階で先に縮ませるという対策を取って作ります。
先に水分を与え、アイロンで熱と力を加えてこれ以上は縮まない、という状態にしてから裁断、縫製し、あとで問題が起きないようにします。
手編みのニットは、糸の状態で先に縮ませておくことができないので、先にどれだけ縮むか予測を立てて(ゲージを取って)、形になってから縮ませます。
どれくらい縮むのかを正しく把握するためには、本来は全て編んで形にしてから洗濯をして縮率を出すのがよいのですが、手編みのニットではそんなことはできません。
(商品として何百枚何千枚と作るものなら、サンプルなどを使って縮率を出します)
なので、ゲージを正確に測ることが大切になってくるということですね。
手編みのニット作品の大きさがゲージよりも小さくなる
編みものの1、では、スワッチを編んで、水通ししてアイロンをかけて編み地を落ち着かせてからゲージを取ります。
ですが、使う毛糸によっては、作品のサイズがこのゲージよりかなり小さくなる場合(予測を上回って縮んでしまうこと)があるのです。
小さなスワッチでは限界があるのはわかりますが、それにしてもこんなに小さく上がるのはなんでかなー??と思っていました。
それで思い至ったのが、編む工程の合間のアイロン掛けの分の縮みを、私が甘く見ていたのではないかということです。
そう、私の予測が甘かったのですね。
最初のゲージを取る段階で、スワッチをガンガンがしがし洗って、スチームアイロン当てまくるくらいのほうがよいのかも、いや、それはやり過ぎかな、などなど考えています。
毛糸は、扱う会社によって仕上げが異なっているようで、アヴリルさんや、きんしょうさんの毛糸は、仕上げ加工がされていない、もしくはされていても最低限(工業用の糸に近い)なのではないかと思います。
(きんしょうさんの毛糸で編んだセーターで、小さく上がって着られないものがあるんです。私の見積もりが甘かっただけで、もちろんきんしょうさんの糸のせいではありません。)
なので、編む前と編んだ後のサイズの差が大きいのかもしれません。
ハマナカさんやダルマさんの毛糸などでは、そこまで縮まない(糸の段階で仕上げの加工がされている)気がします。最後の水洗いはしなくても、軽くスチームアイロンをかけるだけで大丈夫な気がします。
このあたりのことが正しく予測できれば、もう少し対策がたてられるのかもしれません。
手編みのニット作品の大きさがゲージより大きく(伸びて)上がる
また、大きく(長く)あがることもあります。
かのこ編みで、ゲージよりも大きく上がるということがありました。これは素材どうこうではなく、編み方ではないかと思われます。
かのこ編みなど、表目と裏目を使う編み目は目が詰まったような編み地に上がります。厚みが出たり、重く上がりやすいです。
ゲージを取るのはせいぜい15cm四方しか編まないのでわかりにくいですが、こういう編み地はメリヤス編みより伸縮性があります。
そして大きく編むと小さな編み地より引っぱられた状態になるので、大きく上がる(伸びた状態)のではないかと思います。
縦方向は分かりやすいですね。丈や袖丈などは、どのような編み地でも多少伸びて上がります。かのこ編みは横方向でも伸びた状態になり、サイズが大きくなるようです。
まとめ
素材などにもよりますので、一概には言えない部分もあり、とても難しいです。素材の知識も必要で、編み方などでも変わってくるということは、やっぱりもっと経験を積んで勉強するしかないですね。
これからもたくさん編もうと思います。
この記事が、誰かのお役に立てたのなら、とてもうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。